
奈良県桜井市の聖林寺に祀られる国宝 十一面観音は、日本を代表する仏像の一つ。
その天平彫刻の名作が、24年ぶりに奈良国立博物館で公開されます。
※掲載している写真は、許可のもと撮影を行っています。
開催に先立って2月4日、聖林寺・倉本住職らによる法要が行われました。
その様子を、動画でご覧ください。

十一面観音は昨年初めて奈良県を出て、東京国立博物館の特別展「国宝 聖林寺十一面観音―三輪山信仰のみほとけ」で展示されました。
その時はガラスケースの展示でしたが、今回の奈良国立博物館では、ガラスケースなし!
間近で拝観することができる、とても貴重な機会です。



360度ぐるりと観ることができるので、お堂では叶わなかった後ろ姿や細部もじっくりと拝観できます。

聖林寺の倉本明佳住職は、「寺外で展示されるのは、私が生きているうちはこれが最後。ケースなしで観ていただけるのも最初で最後ですので、ぜひお越しいただきたいと思います」。
また、こちらの十一面観音は、奈良時代、東大寺の造仏所で造られたのではないかといわれており、東大寺の近くにある奈良国立博物館での開催について「1300年ぶりに自分のお生まれになったところに里帰りされたという感じがして嬉しいです」と話されていました。

聖林寺の倉本明佳住職。マスクのチャームは十一面観音の光背をモチーフにしたもの。2月中旬から1階のグッズ売場で販売されます。
本展では、十一面観音が聖林寺に祀られる前に安置されていた大御輪寺(だいごりんじ、大神神社境内に明治時代まであった神宮寺)や三輪山の信仰についても紹介しています。

特に大御輪寺で十一面観音とともに安置されていた、地蔵菩薩(法隆寺蔵、国宝)、日光・月光菩薩(正暦寺蔵)は、明治時代の神仏分離によりそれぞれ他の寺に移されて以来、約150年ぶりに再会されました。


会場では、女優の天海祐希さんのナビゲートによる音声ガイドの貸出もあります。聴き心地の素敵なお声で、十一面観音の見どころや三輪山信仰について案内されていますのでぜひ。

1階では聖林寺関連のオリジナルグッズの販売も。
聖林寺門前にある酒造が十一面観音をイメージして醸造した日本酒をはじめ、光背を描いたトートバッグやTシャツ、絵はがきなど、ここでしか買えない商品がずらり。



皆さんも聖林寺の収蔵庫で何度か拝観されてきたかもしれない十一面観音さま。
個人的に、ガラスケースなしのお姿は、とてものびのびされているように見えました。
間近で観られるこんな機会はもう二度とないそうなので、ぜひ会期中に会いに行ってください!

▼データ
■会期:令和4年2月5日(土)~3月27日(日)
■会場:奈良国立博物館
■公式URL
聖林寺展
奈良国立博物館
2022年2月5日公開
取材協力/奈良国立博物館
取材・撮影/編集部