
2013年以来、7年ぶりに公開
東大寺では、通常非公開の戒壇院千手堂の特別公開が、7月4日から始まりました。 千手堂東隣にある戒壇堂が、保存修理及び耐震化工事のため、7月1日から約3年間の予定で拝観停止になり、それに代わり公開されることになりました。

創建当時の厨子入り仏像を安置
堂内の中央に黒漆塗厨子(ずし)が据えられ、ご本尊の千手観音立像と四天王立像が安置されています。
仏像はいずれも鎌倉時代、奈良を中心に活躍した仏師集団・善派(ぜんぱ)の作とされ、千手堂建立と同時期に制作されたといわれています。 室町時代にはすでに秘仏だったこともあり、観音像の華麗な装飾や四天王像の極彩色が今もきれいな状態で見ることができます。

仏像とほぼ同時期に作られた厨子には、色鮮やかな彩色画が。
千手観音を信仰する者を守る二十八部衆や風神・雷神、明王のほか、後板には観音さまがいらっしゃるという海に囲まれた補陀落浄土(ふだらくじょうど)が描かれ、クジラの潮吹きのような絵も。
厨子は真横から見ることもできるので、ぜひそばに寄ってご覧ください。
同時期の千手観音、四天王、それを覆う厨子が当時のまま揃って残っているのは貴重なこと。
鎌倉時代後期の信仰の世界観を感じることができますよ。

また、堂内右奥には、東大寺に日本初の戒壇を設けた、唐の高僧・鑑真和上坐像も安置されています。
新たな御朱印2種類の授与が開始
今回、千手堂では特別公開を機に、新たな御朱印を授与いただけることになりました。
「千手観音」と「鑑真和上」の2種類です。

東大寺でいただける御朱印は、これまで18種類でしたが、公開期間中はなんと20種類に!
この機会にお参りをして、仏さまと授かったご縁を大切に、新たな御朱印をいただきましょう。

2020年7月8日公開
東大寺 戒壇院千手堂
拝観時間 8:30~16:00 ※毎月6日は法要後10:00頃~
拝観料 600円
※2020年7月現在の情報です。
取材協力/東大寺
取材・文/白崎友美(ならめがね副編集長)
撮影/編集部