
正暦寺(しょうりゃくじ)は奈良市東南の郊外にあり、「日本清酒発祥の地」としても名高い古刹です。
こちらの紅葉の見頃は、例年11月中旬から下旬。
3000本を超えるカエデの色づく様子が、まるで錦のように美しいことから、古来「錦の里」と称えられています。

正暦寺は、JR奈良駅や近鉄奈良駅から10㎞前後。
自然ゆたかな山あいにあり、境内は澄んだ空気に満ちています。
参道を歩くと、菩提仙川(ぼだいせんがわ)のせせらぎや、木々で遊ぶ野鳥のさえずり。自然が奏でる心地いい音に、ほっと癒されます。


正暦寺は、日本清酒発祥の地とされています。
それは室町時代、大寺院だった正暦寺で「菩提酛(ぼだいもと)造り」という画期的な酒造りが確立され、今私たちが口にする清酒(透き通った日本酒)の原点が誕生したからです。
その偉大な歴史に思いをはせながら、福寿院客殿へ。

福寿院の客殿に入るや、思わず感嘆の声があがります。

福寿院客殿は、庭石や草木を配した庭園を前景とし、瓦塀の向こうの大自然まで背景として取り込んだ借景庭園です。
その眺めは、ただただ「美しい」のひと言。
柱が額縁となり、まるで壮大な風景画のようです。

福寿院のあとは、参道を挟んだ向かい側へも行ってみてください。

続いて、本堂へと向かいましょう。


本堂へ上るための石段は、81段あります。
これは、観世音菩薩の誓願の数にちなんだ33段と、阿弥陀如来の誓願の数にちなんだ48段を合わせたもの。
すべて登りきることで、観世音菩薩と阿弥陀如来のご加護を受けられるとされています。



古来「錦の里」と称えられ、人をひきつけてやまない正暦寺。
大自然が育んだ錦色(きんしょく)の紅葉には、生命力あふれる美しさが宿っています。
ぜひあなたも、この絶景空間に身をゆだね、心まで包み込まれてください。

2021年11月12日公開
※2021年11月現在の情報です。
取材協力/正暦寺
取材・撮影/編集部