
室生寺の寳物殿(ほうもつでん)が2020年9月5日、ついにオープンしました。寳物殿は、国宝・十一面観世音菩薩を含む仏像9体をはじめ、貴重な宝物が間近に見られる収蔵施設です。
今回ならめがねでは、寳物殿を総力特集。「ガイダンス編」と「インタビュー編」の2部に分けて、その魅力をお伝えします。
「ガイダンス編」では、これから初めて行くという方のために、寳物殿の概要や見どころをご紹介。
「インタビュー編」では、室生寺執事長・小田修史さんへのインタビュー取材を通して、寳物殿建立の意義やその舞台裏に迫ります。
それではまず、「ガイダンス編」からどうぞ!
新フォーメーションで魅せる、女人高野の仏像美


入り口の階段を上がると、前室と呼ばれるスペースがあります。
この前室があることによって、外部からの空気や虫などが収蔵庫内へ直接入ってくるのを防ぎます。
奥に進むと、いよいよ第一収蔵室。
憧れの仏さまたちとご対面です。

ほう…と、感嘆のため息がこぼれます。
これまで金堂の内陣に安置されていた十一面観世音菩薩立像、地蔵菩薩立像、十二神将像6体、そして弥勒堂の厨子前にお祀りされていた釈迦如来坐像が横にずらり、圧巻の眺め。
ここには、室生寺の仏像のうち、約3分の1にあたる9体が収蔵されています。
向かって左奥は、地蔵菩薩立像。
平安時代(9~10世紀)の作で、光背に九体の地蔵菩薩坐像や宝相華などが華麗に描かれています。
中央に、十一面観世音菩薩立像。
こちらも地蔵菩薩立像と同じ年代に造られました。十一面観音さまといえば、室生寺で人気ナンバーワンの美仏。皆さん、よくご存じのことでしょう。

右奥に、釈迦如来坐像。
平安時代(9世紀頃)の作で、どっしり安定したお姿と穏やかなお顔立ちが、とても印象的な仏さまです。

そして手前に、十二神将像。
向かって左から酉神、未神、巳神、辰神、卯神、寅神という並び。いずれも鎌倉時代(13世紀)の作で、姿態がとてもダイナミックです。
なお、十二神将像のほかの6体は、金堂に安置されています。

これは、免震台が一つだと、像高の低い十二神将像は大人の肩あたりの高さになって、拝観者が見下ろす形になってしまうから。
「仏さまを崇める形で拝していただきたい」という思いから、免震台を二つにして視点を上げているそうです。
貴重な密教仏具が並ぶ第二収蔵室へ
第一収蔵室の隣は、第二収蔵室。
こちらには、鎌倉時代の華形大壇(けぎょうだいだん)をはじめ、貴重な密教仏具が展示されています。


開館を記念して特別御朱印、素敵な関連グッズも!

授与所では、寳物殿の開館を記念する特別御朱印や、とても素敵な関連グッズが授与されています。
こちらも見逃せません。




憧れの仏さまを間近で拝せる寳物殿。
その圧倒的な魅力を、ぜひ現地で体感してみてください!
2020年10月16日公開
※2020年10月現在、新型コロナウイルス感染対策のため入館人数を制限中。
▼入館料や拝観時間など詳しくはこちら(室生寺公式HP)
http://www.murouji.or.jp/news/128/
※2020年10月現在の情報です。
取材協力/室生寺
取材・文/ならめがね編集部
撮影/楠本夏彦