室生寺(むろうじ)は、「女人高野(にょにんこうや)」の名でも親しまれる古刹。
こちらの紅葉の見頃は、例年11月中旬から12月上旬。
カエデやイチョウが紅葉し、境内のいたるところで山岳寺院らしい、心にしみる秋景と出会えます。
室生寺があるのは奈良県北東部、三重県との境。
雨多く実り豊かな深山幽谷の地・室生に建っています。
室生は水を司る龍が棲む龍穴があるといわれ、昔から雨乞い祈願の霊験あらたかな信仰の地でした。写真左側が境内。その前を流れるのが室生川で、「太鼓橋(たいこばし)」がかかっています(2020年11月中旬)
では、境内へと参りましょう。
朱塗りの欄干が雅やかな「太鼓橋」を渡ります。
太鼓橋。たもとの左右で、真っ赤に色づいたカエデが参拝者を出迎えてくれます(2020年11月中旬撮影)
入山受付を経て、参道を進むと、正面に仁王門が現れます。
門の左右を守るのは、赤と青の金剛力士像。
2体の間から、門の向こうの紅葉がちらりと見え、期待に胸がふくらみます。
仁王門。右に赤い「阿形(あぎょう)」・左に青い「吽形(うんぎょう)」の金剛力士像が安置されています(2020年11月中旬撮影)
仁王門をくぐると、左手にバン字池があり、鎧坂(よろいざか)が見えてきます。
ですが、その前に振り返って、仁王門を見ておきましょう。
鎧坂付近から見る仁王門。真っ赤なモミジに彩られ、いっそう風雅なたたずまいに(2020年11月中旬撮影)
では、鎧坂へ。
鎧坂といえば、室生寺を代表する景観の一つ。ご存じの方も多いことでしょう。
鎧坂。奥に見えるのは金堂(国宝)。鎧坂の両側から枝を伸ばしたカエデが艶やかに紅葉します (2020年11月下旬撮影)
鎧坂は自然石を積んだ石段で、鎧の付属具の草摺(くさずり)に見えることからそう呼ばれます。
金堂を経て、さらに石段を登ると、やや広い平地に出ます。
静寂に包まれ、本堂がひっそりとたたずんでいます。
本堂(国宝)。本来は灌頂堂(かんじょうどう)といい、真言宗の重要な法儀である灌頂が行われるお堂です。紅葉は赤・黄・オレンジ・緑を織り交ぜた美しい錦色に(2020年11月中旬撮影)
左手前にある池の柵の間からのぞくと、水面に紅葉が映って、とてもきれい。実はこれ、僧侶の方から教えていただいたアングルなんです(2020年11月中旬撮影)
秋の終わりから、冬の始まりへ。
山岳寺院である室生寺の気温は、ぐっと下がります。
吐く息も白くなる中、ひたむきに紅葉する姿は気高く、美しく。
心にしみる深山幽谷の錦秋、ぜひ体感してください。
境内で見つけたハート形の落ち葉。風が吹いたらすぐに形が崩れてしまうので、目にした人は幸運かも!?(2020年11月下旬撮影)
2021年11月13日公開
室生寺の情報
※2021年11月現在の情報です。
取材協力/室生寺
取材・撮影/編集部
【紅葉名所 】
隠れ里でしっとり、
円成寺の紅葉
鹿たちも戯れる、
奈良公園の紅葉
借景にため息こぼれる、
依水園の紅葉
神さびた古色を醸す、
等彌神社の紅葉
山を秋一色に染める、
談山神社の紅葉
錦色に彩られる、
正暦寺の紅葉
深山幽谷に色づく、
室生寺の紅葉
社殿を紅黄に染める、
瑜伽神社の紅葉